いまを生きる人々がもっとも言われたくない言葉は「孤独だね」というものかもしれません。
私たちは幼い頃から友達をたくさん作るように推奨され、仲間外れにならないように気を遣い、大人になってからもSNSで交流する人の数を増やすように努め、懸命に人と繋がり続けようとします。
これは日本社会が、一つの共同体や同じ価値観に属するのを強いており、友達作りや人々との交流を小さな頃から推奨し続けた結果、私たちが「孤独」に対してネガティブな印象を抱いているからです。
しかし、小説家でありながら出家をしている瀬戸内寂聴は「人間は生れて死ぬまで孤独な動物だ」と語っており、孤独は外側にしか向いていなかった目を自分の内側に向けるために必要かつ重要なものだと述べました。
たとえば、シャネルやフェンディといった世界的ブランドを手がけたファッションデザイナーのカール・ラガーフェルドは、週末の48時間は「独り」の大切な時間を奪われないために誰とも会わないのだそうで、とあるインタビューで次のように述べています。
「創造的な仕事をするためには、孤独になり充電する必要があり、1日24時間スポットライトに照らされるように生きてしまうと創造的になることはできない。私のような人々にとって孤独でいることこそ勝利だ。」
これは「創作とは自分自身と会話すること」であるからだそうで、他者からインスピレーションを得たり、情報が私たちに新たな知見を与えてくれることはあるものの、オリジナルなものを創ったり、物事の本質を突き詰めるためには独りになってまとまった時間自分自身と向き合って考えなければならないからです。
孤独が自分自身と向き合い、私たちを創造的にするのだとすれば、いつでもどこでも人と繋がっていられるようになった便利すぎる現代社会においては、孤独であることこそが勝利であり、「孤独だね」という言葉は最高の褒め言葉になりうるのではないでしょうか。
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